「親知らずを抜いた後に熱が出るの?」
「親知らず抜歯後の過ごし方がわからない…」
このような不安を抱えている人は多いでしょう。
親知らず抜歯後の発熱の多くは治る途中で起こる反応で、徐々に落ち着いてきます。しかし、見逃せない異常サインもあります。
抜歯部の炎症は術後48〜72時間で山を迎え、その後は軽くなる傾向があるためです。例えば、37〜38℃前後の微熱が2〜3日で下がり、腫れや痛みも減るなら、自宅では安静にしながら、水分を摂ったり処方薬を飲んだりするといいでしょう。
反対に38℃以上が続き、3日を過ぎても腫れや痛みが強まったり膿や悪臭、口が開きにくい症状が出たりするときは受診のサインです。
この記事では、熱が出る原因と対処、受診の目安を解説します。これから抜歯する方、抜歯後に不安な方は、参考にしてみてください。
目次
親知らず抜歯後に熱が出る5つの原因

親知らずを抜いた後は、熱が出る場合があります。多くは回復途中の反応で、数日で落ち着く流れが目安です。ただし感染など、受診が必要な状態もあります。
ここでは発熱の原因を5つに分けて整理します。
正常な炎症反応
抜歯後に熱がでる多くの場合は正常な炎症反応です。抜歯でできた傷を治す過程で、周囲の組織が反応し、熱っぽさや微熱、腫れ、痛みが出ます。
一般的には術後48〜72時間で腫れや痛みが強くなり、その後はゆるやかに軽くなります。熱も同じように下がるなら安静にし、水分をしっかり摂り、処方薬の指示を守る対応が基本です。
術後感染
熱に加えて症状が増える場合は術後感染の疑いがあります。抜歯部に細菌が入り、炎症が広がると38℃以上の発熱が続く、腫れが広がる、膿や悪臭が出るなどが起こります。
特徴としては「日に日に悪化」へ向かう点です。痛み止めが効きにくかったり飲みこみがつらかったりする場合も受診の目安にしてください。早めに歯科医院へ連絡すると良いでしょう。
ドライソケット
強い痛みが続く場合はドライソケットも疑いましょう。抜歯部を守る血のかたまりが取れ、骨が露出して痛みが増します。
痛みが拍動する、口臭が出る、食事がつらいなどの症状が当てはまります。発熱は強く出ない場合もありますが、痛みが長引くと体力も落ちてしまいます。強いうがいや喫煙、抜歯部を触ることは避け、症状が続くなら歯科医院を受診しましょう。
薬剤性・体調要因
薬や体調が悪い場合でも熱っぽさは出ます。抗菌薬や痛み止めで胃が荒れる、食事量が落ちる、睡眠が不足するなどが重なると、だるさや微熱が続くでしょう。
抜歯部の腫れが落ち着く一方で全身がつらい流れなら、この要因も考えられます。発疹や息苦しさ、強い下痢などがあれば早めに医療機関へ相談してください。市販薬の追加は成分が重なるため避けましょう。
風邪等の併発
抜歯とは関係なく、風邪などで熱が出る場合もあります。抜歯後は体が疲れやすく、のどの痛みや鼻水、咳が出るなら風邪などの可能性も考えましょう。
ただし、熱と同時に抜歯した場所の痛みや腫れが強まるなら、風邪ではなく、抜歯した穴の周りにばい菌が増えて炎症が広がっている状態も疑ってください。
例えば、腫れが広がったり膿やにおいが出たりする場合です。高い熱が続く、全身のだるさが強い、呼吸が苦しいなどがあれば、歯科と内科の受診を検討してください。
関連記事:親知らず抜歯後のドライソケットとは?激痛の原因と正しい対処法を解説
親知らず抜歯後の経過の目安

親知らずを抜いた後は、痛みや腫れ、熱っぽさが日ごとに変わります。特に抜歯から2〜3日目は症状が出やすい時期です。そのあと少しずつ楽になるのが一般的です。
ここでは、いつ何が起きやすいかを時期ごとに分けて説明します。
0〜24時間:微熱や違和感
当日は違和感が出やすい時期です。麻酔が切れると痛みが増し、熱っぽさも感じます。唾液に血が混ざるのも珍しくありません。
まずは安静にしましょう。強いうがいは控えてください。血のかたまり(血餅)が取れると治りが遅れるため、ガーゼを替えても出血が止まりにくかったり、ふらついたりするなどの場合があれば歯科医院へ相談しましょう。
48〜72時間:炎症ピーク
抜歯から2〜3日目は、腫れや痛み、微熱が出やすい時期です。昨日と比べて症状が同じくらいか少し楽なら、回復に向かっています。治るために反応が強く出やすい日があり、ここを過ぎると落ち着く場合が多いためです。例えば腫れが広がらない、痛みが少し軽い、熱が上がらず下がり始める場合です。水分をとって休み、処方薬は指示どおりに飲んでください。反対に腫れが毎日広がる、熱が上がる、痛みが強くなる場合は歯科医院の受診を考えましょう。
4〜7日:症状は緩やかに回復
4日目以降は楽になる日が増えるでしょう。痛み止めの回数が減り、腫れも引きます。
食事は柔らかい物から少しずつ戻してください。抜歯部は食べ物が入りやすいため、歯みがきは周りを丁寧に磨きましょう。
ただし、穴を強くこすらないようにしてください。痛みが強まる、においが気になる、口が開きにくいなどの症状が出たら、回復から遠ざかっています。歯科医院へ相談してください。
1週間以上の悪化や高熱が続く場合
抜歯から1週間を過ぎても、痛みや腫れ、熱が強くなる場合は受診が必要です。通常は楽になる時期のため、悪化には注意しましょう。
例えば、38℃以上の熱が続く、腫れが広がる、膿や強いにおいが出る状態です。痛み止めが効きにくいほど痛い場合も目安になります。全身のつらさが強い、飲みこみがつらいなどがあれば、内科の相談も検討してください。
- 38℃以上の熱が続く
- 3日を過ぎても腫れや痛みが強まる
- 腫れが広がる、飲み込みがつらい
- 膿が出る、強いにおいが出る
- 口が開きにくい、会話や食事がつらい
- 出血が長く続き、止まりにくい
迷う時点で相談すると安心です。夜間や休日に備え、連絡先も事前に確認しておきましょう。
関連記事:【保存推奨】親知らずを抜かないとどうなるのか?親知らず抜歯の流れも徹底解説
親知らず抜歯後の発熱の原因別対処法

親知らず抜歯後の熱は、原因で対応が変わります。自己判断で我慢すると長引く場合もあります。
ここでは原因ごとに「自宅での対応」と「相談の目安」を分けて整理します。
正常な炎症反応の場合
微熱が出ても、日ごとに楽になるなら回復の途中です。抜歯した場所は傷になっているため、体が治そうとして熱っぽさや腫れが出ています。
まずは体を休め、処方薬と生活面のケアを整えましょう。食事と水分が不足すると、痛みやだるさが強まりやすくなります。
以下の行動を心がけてください。
- 安静と睡眠の確保
- 水分補給の継続
- 処方薬の指示どおり服用
- やわらかい食事
- 強いうがいの回避
- 喫煙、飲酒の回避
目安は、腫れが広がらない、痛みが少しずつ軽くなる、熱が上がらず下がり始める状態です。反対に、熱が上がる、腫れが広がる、痛みが強まる場合は、正常の範囲を超える可能性もあります。早めに歯科医院へ相談しましょう。
術後感染の場合
熱に加えて、腫れや痛みが増えるなら術後感染も疑いましょう。抜歯した穴の周りでばい菌が増え、炎症が広がると症状が強まりやすいです。
我慢せず早めに歯科医院へ連絡しましょう。処方された抗菌薬がある場合は、自己判断で止めないでください。
以下に当てはまるなら、相談の目安です。
- 38℃以上の熱が続く
- 腫れが毎日広がる
- 痛みが強くなる
- 膿が出る、強いにおいが出る
- 飲み込みづらい
- 口が開きにくい、会話がつらい
受診では原因を確認し、必要に応じて薬の調整や処置をします。夜に急に悪化する場合もあるため、迷う時点で相談してください。
ドライソケットの場合
強い痛みが続く、痛みが増す場合はドライソケットの疑いもあります。抜歯した穴を守る血餅が取れ、骨がむき出しに近い状態になると、ズキズキした痛みが出やすくなります。
熱は強く出ない場合もあります。ただし痛みで眠れない、食事が取りにくい状態なら、早めの相談が安心です。抜歯した穴を指や綿棒で触らないでください。強いうがいや喫煙、飲酒も控えましょう。
以下に当てはまるなら、相談の目安です。
- 痛みが2〜3日目以降も強い
- ズキズキする痛みが増える
- 痛み止めが効きにくい
- 口臭が強い、変な味がする
- 抜歯部がしみる、触れるとつらい
- 食事や睡眠がとれない
受診では抜歯部の状態を確認し、洗浄や保護の処置をします。38℃以上の熱や腫れの広がりもある場合は、感染が重なっている可能性もあるため、あわせて伝えてください。
薬剤性・体調要因の場合
口の痛みや腫れが強くないのに、熱っぽい、だるい状態が続く場合は、薬や体調の影響も考えましょう。抗菌薬や痛み止めで胃が荒れると、食事や睡眠が乱れやすくなります。
まずは水分をこまめにとり、消化のよい食事を選び、しっかり休みましょう。市販薬を追加する前に、処方薬と成分が重ならないか確認してください。心配なら歯科か薬局に相談すると安心です。
以下に当てはまるなら、相談の目安です。
- 発疹が出る、かゆみが強い
- 息苦しい、ぜいぜいする
- 強い下痢や腹痛が続く
- 吐き気が強く食事がとれない
- 水分もとれず尿が少ない
- 薬を飲むと体調が悪くなる
受診時は、飲んだ薬の名前と時間を伝えると判断が早くなります。症状が急に強くなった場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
風邪等の併発の場合
のどの痛み、鼻水、咳が中心で熱が出るなら、抜歯とは別に風邪などが重なった可能性もあります。抜歯後は体が疲れやすく、免疫が落ちると風邪をひきやすくなります。まずは休養と水分が基本です。
ただし、熱と同じタイミングで抜歯した場所の痛みや腫れも強まる場合は注意しましょう。風邪ではなく、抜歯した穴の周りの炎症が強くなっている場合があります。迷う場合は歯科へ連絡してください。
以下に当てはまるなら、相談の目安です。
- 咳や鼻水より、口の痛みが強い
- 腫れが広がる
- 膿や強いにおいが出る
- 口が開きにくい、飲み込みづらい
- 38℃以上の熱が続く
- 呼吸が苦しい、全身がかなりつらい
受診先に迷う場合は、口内の症状が強ければ歯科、風邪症状が中心なら内科も検討してください。どちらもつらい場合は両方へ相談しましょう。
親知らず抜歯後の自宅でできる発熱対策

親知らず抜歯後の熱が気になるときは、まず自宅でできる対応を整えると安心です。ポイントは「薬」「冷やし方」「口の清潔」「休養」「避ける行動」です。ここでは順番に説明します。
解熱鎮痛薬の基本
熱っぽさと痛みがあるときは、処方された痛み止めの使い方が大切です。指示どおりの量と回数を守ると、痛みで眠れない状態を減らせます。飲む間隔を詰めすぎると副作用が出やすいため注意しましょう。
胃が荒れやすい人は、空腹を避けて服用すると楽な場合があります。効きが弱い、回数が増える状態が続く場合は、歯科医院へ相談してください。
冷却と補水
腫れが強い時期は、冷やし方で楽になります。冷やす場合は、短い時間で様子を見てください。冷やし続けると血のめぐりが落ち、治りが遅れる場合があります。
発熱時は汗や呼吸で水分が減りやすいです。水やお茶を少しずつ回数を増やしてとりましょう。脱水や出血のリスクが上がりやすいため、飲酒はやめましょう。
口腔清掃
口の中を清潔にすると、トラブルが起きにくくなります。歯みがきは普段どおりを目指しつつ、抜歯した穴は強くこすらないようにしましょう。
抜歯後は食べ物が入りやすい時期なので、周りの歯を丁寧に磨くとよいでしょう。うがいは軽く流す程度にしてください。ぶくぶくうがいは血のかたまりが取れやすいので控えましょう。歯科医院から指示がある場合は、指示を優先してください。
安静と睡眠
回復を早めるためには、体を休めることが欠かせません。睡眠が不足すると、痛みやだるさを強く感じやすいです。できれば予定を軽くし、早めに横になりましょう。
枕を少し高くすると、腫れが楽になる場合があります。入浴や運動で体が温まると、腫れや出血が強まる場合もあります。症状が落ち着くまでは控えめが安心です。
避けたい行為
熱がある時期は、悪化につながりやすい行動を減らすと早く回復しやすいです。抜歯した穴を守る意識が大切になります。
以下は特に避けてください。
- 強いうがい
- 喫煙
- 飲酒
- 激しい運動
- 長風呂
- 熱い飲食
- 抜歯部を触る癖
これらを避けると、出血や痛みのぶり返しを減らしやすくなります。まずは数日だけでも意識してやめるようにしてください。つらさが長引く場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
関連記事:親知らずの抜歯後の早期回復を促進する方法
親知らず抜歯後に発熱がある場合の受診の目安

親知らず抜歯後の熱は、経過で判断しましょう。ポイントは「熱の高さ」「日数」「腫れと痛みの増え方」です。
以下の目安を参考にしてください。
| 状態 | 目安 | 自宅対応 | 受診の目安 |
| 微熱がある | ・37℃台が中心 | ・水分・休養・処方薬 | つらさが強い場合 |
| 腫れや痛み | ・1~3日で強まり、その後軽くなる | ・冷却は短時間・刺激回避 | 3日を過ぎても悪化 |
| 高熱がある | ・38℃以上 | 自宅で無理に我慢しない | 早めに歯科か内科へ |
| 膿や強い悪臭 | ・いずれかあり | 穴を触らない | 早めに歯科へ |
| 口が開きにくい | ・会話・食事がつらい | 安静 | 早めに歯科へ |
| 飲み込みづらい 息苦しい | ・全身症状あり | 受診を優先 | 至急、医療機関へ |
受診前に以下の内容をメモしておくと安心です。
- 体温の推移(朝夕)
- 痛み止めの名前と回数
- 腫れの広がり
- 膿、悪臭、血の量
- 食事と水分の量
受診前に情報があると、受診の際の判断が早くなります。急な悪化は自己判断で長引かせず、歯科医院へ連絡しましょう。
よくある質問と回答

親知らず抜歯後の熱は、疑問が増えやすい時期です。
ここでは、よくある質問を整理します。迷う症状がある場合は、早めに歯科へ相談してください。
親知らず抜歯後の熱は人にうつる?
抜歯後の微熱は、体の反応として出る場合があります。人にうつるような発熱ではありません。
ただし、咳や鼻水、のどの痛みが目立つ場合は、風邪等の可能性も考えます。周囲へ配慮し、必要に応じて内科へ相談してください。
親知らず抜歯後の入浴や温泉はいつからOK?
当日は長風呂を避け、短時間のシャワーにしましょう。体が温まると、出血や腫れが強まる場合があります。
翌日以降も、腫れや痛みが強い間は短めにしてください。温泉やサウナは回復後にしましょう。
いつから普通に食べられる?
当日は、やわらかい物から始めてください。熱い物や辛い物、硬い物は刺激になります。
痛みが落ち着いたら、反対側で少しずつ戻していきましょう。食べ物が穴に入りやすい時期のため、食後はやさしく清掃してください。
強い痛みが続くときの判断基準は?
痛み止めを使っても眠れない状態は注意が要ります。2~3日目を過ぎても痛みが強まる場合は、受診が安心です。
以下の症状がある場合は、早めに連絡してください。
- 膿が出る
- 強い悪臭が続く
- 腫れが広がる
- 口が開きにくい
咳・高熱(40℃)が続くときの受診先は?
咳や高熱が中心なら、内科の受診を優先してください。
ただし、抜歯部の腫れや痛みも強い場合は歯科医院にも連絡が必要です。息苦しさや飲みこみづらさがある場合は、至急医療機関へ相談してください。
関連記事:親知らず抜歯の翌日の症状と過ごし方
柳瀬院長の総評|親知らず抜歯後に熱がでた場合の対処法を知ろう
親知らず抜歯後に熱が出たら、焦らずに経過を判断しましょう。多くは術後の炎症反応です。落ち着いてくるなら自宅対応で様子を見てもよいでしょう。
抜歯部の炎症は48〜72時間で山を迎え、その後は軽くなる流れが一般的です。薬は指示どおりに使い、水分と休養を優先してください。冷却は短時間が目安です。
例えば、37℃台の微熱が中心で2〜3日で軽くなるなら経過観察が基本です。一方で38℃以上が続く、3日を過ぎても腫れや痛みが強まる、膿や強い悪臭がある、口が開きにくい、飲みこみづらい、息苦しい症状があれば早めに受診しましょう。
親知らず抜歯後の熱は、改善へ向かっているのかを見て動くと安心です。不安が強い場合も、自己判断で長引かせず歯科医院へ連絡ください。
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この記事を書いた人

デンタルオフィス虎ノ門 院長 柳瀬賢人
所属学会・勉強会
- MjARSの主宰(歯科医師の勉強会)
- M:ALT’s(@土屋歯科クリニック&works)所属
- SJCD(日本臨床歯科学会)会員
- ITIベーシック・アドバンス サティフィケイト
経歴
- 東京医科歯科大学 卒業
- 名古屋大学 口腔外科
- 歯周病インプラント専門医Jiads講師のもとで勤務
- 医療法人複数歯科医院勤務
- 医療法人歯科ハミール デンタルオフィス虎ノ門院 院長就任
出身高校
- 愛知県立明和高等学校



