- 「まっすぐ生えた親知らずを抜歯しても痛くないのかな?」
- 「どんな時の抜歯が痛むのかな?」
このような悩みを解決できる記事となっています。
親知らずの抜歯はとても腫れたり痛くなるイメージがあると思いますが、まっすぐ生えていても痛いのかを解説していきます。
目次
まっすぐ生えた親知らずを抜歯しても痛くないのか?

まっすぐ生えている親知らずの場合でも、抜歯後に痛みはあります。
親知らずの根の先の方には下歯槽神経と言われる痛みを感じる太い神経の管があり、痛みが出やすいと言われております。
また、親知らずと言われる歯はすべての歯の中で最も歯の根の形態が曲がっている可能性が高い歯と言われており、まっすぐ生えている場合でも抜くのが大変なことがあります。
痛みを伴う親知らず抜歯状況

下歯槽神経と言われる神経が束になっている管と親知らずの距離が近いと痛みや神経の麻痺が起きやすいと言われています。
また、親知らずの根の形態が複雑で抜歯が大変になればなるほど、体にかかる負担が増えるので痛みが出やすいです。
親知らず抜歯の際に使う麻酔の種類

局所麻酔で行う場合と静脈内鎮静で行う場合がございます。
局所麻酔とは親知らずの周辺のみに麻酔をする方法です。
局所麻酔にも浸潤麻酔と言われる一般的な麻酔と伝達麻酔と言われる、より神経の深いところにする麻酔があります。
一方で静脈内鎮静とは、半分寝た状態にする麻酔で、親知らずを抜いてる最中の痛みや苦痛は起きた時には覚えていなかったり、うっすら記憶にあるくらいの状態で行うものです。
親知らずの生え方【パターン別】

親知らずの生え方は以下のとおりです。
- まっすぐ生えた親知らず
- 横または斜めを向いて生えた親知らず
順番に解説します。
まっすぐ生えた親知らず
レントゲン上でまっすぐ生えている時は、上の歯との咬み合わせの状態によって抜歯しなくてもよい場合があります。
横または斜めを向いて生えた親知らず
レントゲン上で横向きや斜めに生えている状態です。
この場合引っ張って抜きたい方向に一本手前の歯が邪魔をして抜けないことが多く、歯を細かく砕きながら抜いたり、親知らずの周りの骨を削って抜くことが必要になります。
親知らずが痛む状況

親知らずが痛む状況は以下のとおりです。
- 親知らずが虫歯になる
- 親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)
- 親知らずのせいで、噛むで歯茎に当たる
順番に解説します。
親知らずが虫歯になる
親知らずが虫歯になり、親知らずの歯髄と言われる神経に近づく虫歯になると痛みがでます。
この状態まで、虫歯が広がってしまうと歯の大半が虫歯になってボロボロのため抜く時も大変なことが多いです。
親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)
親知らずは一番奥の歯であるため歯磨きが難しいです。
その結果周りの歯茎に炎症が起きてしまったり、虫歯ができて穴が開き清掃不良になることが多いです。
親知らずのせいで、噛むで歯茎に当たる
親知らずの磨き残しで歯茎が腫れたり、歯茎に埋まっていた親知らずが出てきたことで歯茎が盛り上がり、咬んだ時に咬み合わせの歯で歯茎を咬んでしますことがあります。
この場合親知らずを抜かなければ、症状は治りません。
実際の抜歯の流れ

はじめに、抜く部位の麻酔をしていきます。
麻酔のきき具合を確認後、親知らずが歯茎に被っている場合は歯茎の切開をしていきます。親知らずを抜くのに引っかかる場合は、親知らずを分割して抜いていきます。
分割するために歯を削っていき、親知らずに骨が被っている場合は、被っている部分の骨を削ります。
歯がすべて抜けた後、切開した歯茎を縫い合わせて終わりになります。
抜き終わった後は止血用のガーゼを咬んでいただくことが多いです。
痛くない抜歯方法・対策とは?
知らずの抜歯は工夫次第で痛みを最小限に抑えられます。麻酔や鎮静法、術後のケアなど、痛くない抜歯の方法を紹介します。
- 局所麻酔でほぼ無痛
- 不安が強い人には「静脈内鎮静法」も
- 術後の痛みを軽減する工夫
順番に解説します。
局所麻酔でほぼ無痛
親知らずの抜歯は「痛い」というイメージが強いですが、現在では局所麻酔の技術が進化しており、ほとんど痛みを感じることはありません。
処置前に「表面麻酔」を行うことで、針を刺す痛みすら最小限に抑えられます。
その後、局所麻酔を丁寧に効かせてから抜歯するため、抜歯中に強い痛みを感じることはほとんどないでしょう。
まっすぐ生えた親知らずの場合は、抜歯の時間も短く、身体への負担も軽いため、安心して治療を受けられます。
不安が強い人には「静脈内鎮静法」も
「どうしても怖い」「治療中に意識があるのが不安」という方には、静脈内鎮静法(点滴麻酔)という選択肢があります。
これは、静脈から鎮静剤を点滴することで、半分眠ったような状態でリラックスしながら処置を受けられる方法です。
処置中の記憶もほとんど残らず、気がついたときには抜歯が終わっていることが多いため、歯科治療への恐怖心が強い方に特におすすめです。
もちろん、安全に配慮した管理のもとで行われます。
術後の痛みを軽減する工夫
抜歯後に痛みをできるだけ抑えるためには、アフターケアがとても重要です。
まず、歯科医から処方される痛み止めや抗生剤を指示通りに服用することが基本です。
また、当日は患部を冷やして腫れを防ぎ、無理に動かず安静に過ごすことで、痛みの悪化を防ぐことができます。
さらに、刺激の強い食べ物や喫煙・飲酒は控え、傷口の回復を助ける生活を意識しましょう。
こうした工夫で、術後のつらさはかなり軽減できます。
親知らず抜歯後の注意点

親知らず抜歯後の注意点は以下のとおりです。
- 舌で抜歯した箇所を触らない
- 激しいうがいをしない
- 喫煙・飲酒を控える
- 安静にする
- 処方された抗生物質を飲み切る
順番に解説します。
舌で抜歯した箇所を触らない
穴が開いていて気になったり、押したら痛いかなと触りたくなるのですが、舌には舌苔と言われる細菌が多数おり、傷口に細菌感染が起きる可能性があります。
激しいうがいをしない
激しくうがいをするとかさぶたがはがれる可能性があります。
抜いたところには血が固まり、血餅と言われるかさぶたのようなものができます。
この血餅が中で骨になり、表面に歯茎ができるのですが、うがいをした圧で血餅がはがれると骨がむき出しになりドライソケットと言われる状態になります。
むき出しになった骨からは出血もなくなっているので、かさぶたもできにくく治癒が長期化します。また、骨がむき出しになりますのでかなり強い痛みが出ます。
喫煙・飲酒を控える
喫煙、飲酒により患部の血流が悪くなり治癒が悪くなる場合があります。また、飲酒により患部が脈打ちより痛みが強く出る場合があります。
安静にする
激しい運動や長湯をすることにより傷口が脈打ち強く痛んだり、患部からの出血が激しくなる可能性があります。万が一出血が止まらないときは、歯科医院を受診してください。
処方された抗生物質を飲み切る
処方された抗生剤にもよりますが、一般的な抗生剤の場合継続して飲んでいただくことで血液中の濃度が高まり、感染予防に効果が出ます。処方された指示通りに飲むようにしてください。
まとめ
まっすぐ生えている親知らずの場合、抜く必要があるものと抜かなくてもよいものがあります。
抜く必要がある場合、まっすぐ生えている親知らずは比較的、抜歯は楽なことが多いですが、歯のコンディションによって大変な抜歯になることもあります。
抜いている最中は麻酔がきいていますので痛くありませんが、抜くのに力がかかりますので、歯をゴリゴリされている感じがします。
そのような感じもなくしたい方は、寝た状態で抜歯を行う静脈内鎮静下で行うとよいでしょう。
麻酔が切れた後の痛みは、抜歯が困難であるほど体にかかる負担が大きいことから痛みが強く出ます。
また、親知らずの根の先付近には下歯槽神経と言われる神経が束になったの太い管がそこに親知らずが近いほど痛みも強く出ます。
まずは、お近くの歯医者さんで診察を受けることをお勧めします。
当院、医療法人歯科ハミールの分院も、今後共よろしくお願いいたします。
この記事を書いた人

デンタルオフィス虎ノ門 院長 柳瀬賢人
所属学会・勉強会
- MjARSの主宰(歯科医師の勉強会)
- M:ALT’s(@土屋歯科クリニック&works)所属
- SJCD(日本臨床歯科学会)会員
- ITIベーシック・アドバンス サティフィケイト
経歴
- 東京医科歯科大学 卒業
- 名古屋大学 口腔外科
- 歯周病インプラント専門医Jiads講師のもとで勤務
- 医療法人複数歯科医院勤務
- 医療法人歯科ハミール デンタルオフィス虎ノ門院 院長就任